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漱石も認める難解な小説・・・“土” 

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長塚節の小説“土”は非常に難解な小説である。
これは漱石始め、あらゆる批評家の一致した意見
でもある。

どこが難しいかというと、まず一般の小説のような
ストーリーの展開がほとんどない。したがって起承
転結のない平板とした話だから読者の興味を起こして
どんどんページをめくっていくというわけにはいかない。

“土”に描かれているのは茨城県のある寒村(貧村)の
貧しい一家の生活である。長塚節は淡々とした筆致で
この一家の貧しい生活とそれを取り巻く自然とを歌人の
感性で綴っていく。

さらにこの小説を難しくしているのは、縦横無尽に表れてくる
この地方の方言である。これを判読するにはかなりの労力が
必要とされる。はっきり言って非常な苦痛である。

ほとんどの読者が途中で投げ出してしまうというのもうなずける。
ただへそ曲がりの小生は今回でこの小説との遭遇が3回目となる。
高校時代(45年ぐらい前)に恩師から進められて何とか読み
切って以来、大事な小説の一つとなっている。漱石も娘が年頃に
なったらぜひとも読ませたいといっている。

どこにこの小説の魅力があるかというのは、小生がそれを云々する
よりは、この小説の序文を書いた漱石に登場してもらうのが最適と
思われる。かなり長い引用となるが我慢していただきたい。

[ “土”の中に出てくる人物は、もっとも貧しい百姓である。教育も
無ければ品格もなければ、ただ土の上に生み付けられて、土と共に
成長した蛆同様に哀れな百姓の生活である。・・・“土”を読むものは
きっと自分を泥の中を引きずられるような気がするだろう。余もそう
いう感じがした。あるものは何故長塚君はこんな読みずらいものを
書いたのだと疑うかもしれない。そんな人に対して余はただ一言、
斯様な生活をしている人間が、我々と同時代に、しかも帝都を去る
程遠からぬ田舎に住んでいるという悲惨な事実を、ひしと一度は
胸の底に抱き締めてみたら、君たちのこれから先の人生観の上に、又
君たちの日常の行動の上に、何らかの参考として利益を与えはしまい
かと聞きたい。

余はとくに歓楽に憧憬する若い男や若い女が、読み苦しいのを我慢して
この“土”を読む勇気を鼓舞することを希望するのである。余の娘が
年頃になって、音楽会がどうだの、帝国座がどうだのと言い募る時分に
なったら、余は是非この“土”を読ましたいと思っている。娘はきっと
厭だと言うに違いない。より多くの興味を感ずる恋愛小説ととりかえて
くれと言うに違いない。けれども余はその時娘に向かって、面白いから
読めというのではない。苦しいから読めというのだと告げたいと思って
いる。参考のためだから、世間を知るためだから、知って己の人格の
上に暗い恐ろしい影を反射させるためだから我慢して読めと忠告したい
と思っている。何も考えずに暖かく成長した若い女(男も同じである)の
起こす菩提心や宗教心は、皆この暗い影の奥から射してくるのだと余は
固く信じているからである。]
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